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イギリスで農業をやるってどんな感じ?海外移住者が語ります。

私は現在イギリスのプレストンという田舎街に住んでおり、農家として働き1年8ヶ月が経ち、今も現役です。

我が社は家族経営にて、中国広東野菜の生産~配達まで行う小さな会社で、

  • チンゲン菜
  • パクチョイ
  • チョイサム
  • ガイチョイ
  • ガイラン

などを年中生産しています。

野菜の卸先は、サッカーで有名なマンチェスターにある、アジアンスーパーマーケットや、レストランやショップです。

個人経営(家族経営)ということで、共に働いているメンバーは義両親、旦那、私の4人。(たまに義弟も)

まだまだ農業初心者ですが、初心者目線で“イギリスでのFarmer’s life style”についてご紹介します。

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仕事内容ってどんな感じ?

仕事量や体力面の問題で、永遠に作業が終わらないように感じる時がありますが、それが農家の仕事。

しかしシンプルな作業工程が多いので、黙々と作業に集中することができ、今の仕事が気に入っています。

それでは以下にて具体的に仕事内容を紹介します。

収穫作業

収穫作業は機械を使わずに、全て手作業で行っています。

大体朝7時頃から起きて作業を行いますが、夏は温室内が暑くなることから朝5時頃に起床し、作業開始しています。

気温が30度を超える暑い日は、ファームの室内はさらに気温が上がるので、働き方の工夫が必要。

イギリスの夏は21時頃まで明るくなるので、暑い時間帯の昼間は避けて、涼しくなってきた夕方から20時頃まで働く日も。

また、イギリスの冬季は15時台から暗くなり始めるので、遅くても16時頃には仕事終了です。

冬には野菜の成長ペースが遅くなり、野菜のサイズも夏より小さめなことから、収穫の時間がかかってきます。

収穫した野菜は、フォークリフトを使って野菜専用の冷蔵庫の中で保管します。

野菜の配達

配達の日は、朝8時頃から収穫した野菜をVanトラックの中に運び込みます。

ファームから配達先(マンチェスター)までは車で1時間15分ぐらい走り、直接スーパーやレストランなどに届けています。

機械を使っての作業

私は機械系は扱っていないのですが、主には

  • 耕運:収穫が終わった後はトラクターで耕運
  • 種まき:以下の写真のような機械を使用
  • 水やり:雨水を使用し、上から降ってくる形で機械で操作をして行う
  • 雑草対策、虫対策のスプレー

などがあります。

(種まきの様子)

機械を使わない作業

収穫作業の他に、実際に私も行なっている作業です。

  • 肥料まき:肥料をまくタイミングは、芽が出てきたぐらいから手まきする(冬はまかない)
  • 熊手を使っての作業:収穫後に落ちた葉などを集めて捨てる耕運準備のための作業
  • 耕運後の土を平らにする:熊手を使い平らにすることで種蒔きの機械がスムーズに使える
  • 雑草抜き:雑草対策をしていても自然のものなので生えてくるので、定期的に行うことが大切

(↑雑草抜き作業の様子)

農家のワークスケジュール

農業は基本的には固定休みがなく、その日の作業内容や天気、気温等によって自ら休みと出勤を決めています。

夏は暑くて冬は寒い…天気や気温にとても左右される仕事です。

以下より、繁忙期と繁忙期外に分けて、農家の週間スケジュールを見ていきましょう。

繁忙期(4月半ば~10月下旬)

  • 月・木・金⇒収穫
  • 火・土⇒配達/作業

その他の曜日(水・日)は作業もしくはオフという流れで仕事をしています。

(※今年はコロナ禍の為、大幅にスケジュールが変更)

繁忙期外(11月~4月上旬)

繁忙期外は、配達が土曜日の1回になることから、上記の週間スケジュールよりゆとりがあります。

週の前半は比較的落ち着いており、朝はゆっくり寝て昼から作業という日も多くあります。

私達は年中野菜を育てていますが、多くのイギリスのファーマー達(同じような野菜を育てている)は冬季はお休みに入っています。

やりがいや魅力は?

出典:pixabay

最初は、農業初心者の自分にこの仕事が勤まるか不安でしたが、平和健康的なお仕事だと気が付きました。

作業で筋肉痛になることは多くあり、体力的には疲れますが、なぜか仕事をしている感覚がないことも。

具体的にやりがいや魅力について書いていきますね。

無我夢中で没頭できる

農作業は単純作業が多く地味な仕事ですが、目の前のことに集中することができ没頭できます。

これが私が思う、農業の1番の魅力だと感じています。

1つのことに集中するタイプ=シングルタスクが得意な自分の性格に、農業は合っているかもしれません。

ロックダウン中でも仕事できる

私たちはProducers(生産者)なので、この期間中も働くことが出来ます。

英国のロックダウン中では、営業停止(自粛)をしていた店舗などがたくさんありました。

仕事中に関わる人は旦那と義両親のみなので、人口密度が低いことから感染リスクは低く、安全に作業が出来ています。

無理に頑張らなくてもできる仕事

実際にファームで働いてみると、

“そこまで頑張って働いている感覚がない”

“無理をしていない”

自分がいます。

最近よく『好きを仕事に』という言葉を聞きますよね。

日本で働いていた時はやりたかった仕事をしていたにも関わらず、どこかで肩の力が入っていたかもしれません。

今思えば、自分に合っていなかったのでしょう。

そこで私にとって、物事を自分らしく継続するためには、

『無理に頑張らなくてもできること』

をすることが大切だと最近気が付きました。

その1つがもしかしたら農業なのかもしれません。

日本の会社員時代との違い(メリットデメリット含め)

どのような働き方や生き方を選択しても、メリットデメリットはあるように感じています。

会社員時代があったからこそ、自分の特性やタイプに気が付くことが出来、今の農業に活かすことが出来ていると確実に思います。

以下より、日本での会社員時代と農家として働くことの違いをメリットデメリットに分けて説明します。

メリット

①生産性、効率がup

もしかしたら、『少ない人数で忙しそう…』と思われるかもしれないですね。

しかし、会社員時代のように、勤務開始&業務終了時間がないので、その日の作業が終わったら終わりというように、柔軟にスケジュールを決めることが出来ます。

土日は基本的に関係なく働くこともあり、平日に休みを取ることも可能です。

最初はオンオフの切り替えに戸惑ったこともありましたが、今ではこの働き方が自分に合っていると感じています。

②心身ともに健康になった

もともと病弱だったのですが、農業を始めてから風邪を引きにくくなり、体力もついたように思います。

午前中は身体を使って作業をするので、昼にはとてもお腹が空き、採れた野菜を食べられることも健康的で嬉しいポイント。

メンタル面にも良い効果があり、自分たちのタイプにあった仕事を心地よいパートナーと行うことで、会社員時代よりはストレスが和らいだように思います。

③心地良さを感じている人と働いている

会社員時代も、本当に人には恵まれていた環境で働いていました。

しかし自分の性格上、無意識に相手の顔色を伺ったり気を遣い過ぎたり自然としていました。職場の人間関係で悩んだこともあったと思います。

しかし今は心地良いと思える人の旦那と働くことで、困難にぶつかる事も多くありますが、その度にも乗り越えようと思うことが出来ます。

デメリット

①義家族との価値観の違いに悩むことも

働くなかで、最も大切と言えると思うことが、一緒に働いている人との関係性だと感じています。

つまり私の場合だと、旦那や義両親との関係性です。

義家族は香港系のイギリス人ということもあり、言語はもちろん、文化や生まれ育った環境が全く違います。

価値観や考え方が合わないと思うこともしばしば…。

また、息子である旦那と義両親でさえも考え方が異なる場合があり、喧嘩に発展することもありました。

言いたいことを気軽に言いやすい家族だからこそ、必要以上に感情的にならない努力は大切です。

②旦那とのペースが合わないことも

会社員時代は、自分が同僚にイライラするということは無かったと思います。

むしろ、仕事熱心な同僚が多く、私は彼らを尊敬していました。

しかし、旦那と働くことで改めて旦那がマイペースだと気が付き、そこから喧嘩に発展することも…。

お互いにペースを調整していく努力や、①にも書きましたが、必要以上に感情的にならない努力は、家族経営において大切だと思います。

③人の関わりがない

会社員時代は、たくさんの素敵な同僚や先輩方と出会うことが出来ていました。

自然と友だちも出来て楽しく生活を送っていたと思います。

しかし現在は、仕事中に家族以外の人と出会うことがないので、出会いが全くありません。

会社員時代の時にあったような会社の飲み会なんてないです。

確かに人間関係の悩みはないことはメリットとも言えますが、孤独を感じホームシックになることも過去にはありました。

そのような状況を変えようと一時的にですが、地元の範囲内で野菜の個別販売を実施したところ、現地に住む日本人の友人が数人できました。

この職業では、人と出会うためには意識をして自ら動いていく必要があると感じています。

海外なのでなおさらです。

まとめ

出典:pixabay

いかがでしたか?

自然の影響を大きく受け大変なこともありますが、人間らしさを感じられるのが農業。

農作業は地味ですが、コロナ禍で気が滅入りそうな時も黙々と集中できて、仕事に救われていると感じています。

現在、若者の農業離れが進んでいるとも耳にします。

今回の記事で、1人でも多くの方に農業の魅力を含めたリアルが伝われば幸いです。

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