なぜ、私がソーシャルワーカーになったのか。
幼少期からマザーテレサに憧れていて、困っている人の役に少しでも立ちたいと思い、福祉職に興味が湧きました。
大学時代は社会福祉学を専攻し、実習をクリアし、念願である国家資格の会福祉士・精神保健福祉士を取得しました。
ソーシャルワーカーとして活動するためには、この社会福祉士もしくは精神保健福祉士の取得が望まれます。(勤務先によっては資格が不必要な場合もある)
ソーシャルワーカーの仕事は多岐に渡りますが、ソーシャルワーカーとは何かを一言でまとめると、
『利用者の困りごとや相談を聞き取り、必要な社会資源と繋げるためのコーディネーターで、きっかけ作りをする人』
だと考えます。
ソーシャルワーカーとして働いたのは1年8ヶ月ですが、アルバイトやボランティア時期を含めると、4年以上携わってきました。
ここでは働いた経験を元に、仕事内容やお給料、やりがいまで詳しくご紹介します。
ソーシャルワーカーの仕事内容ってどんな感じ?

出典:unsplash
ソーシャルワーカーは、子どもから高齢者まで幅広い世代の人と接し、勤務先は以下のように多岐にわたります。
- 高齢者福祉施設
- 障がい者福祉施設
- 児童福祉施設
- 医療機関
- 学校などの教育機関
- 市役所
- 福祉事務所
- 保健所 など
医療現場では医療ソーシャルワーカー、教育現場ではスクールソーシャルワーカーと呼ばれています。
私が当時勤めていたのは、障がい者福祉施設の『地域活動支援センター』という所でした。
地域活動支援センター(以下サロンと呼びます)とは、障がいがある方が日中活動を行う憩いのような場です。
詳しい説明は、以下のサイトを参考にしてみてください。
出典:LITALICO仕事ナビ
サロンの利用者は主には、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者と呼ばれる方々で、年齢は10代〜60代と幅広いです。
その中でも、
- 自閉症
- アスペルガー症候群
- 統合失調症
- 躁鬱病
- 薬物依存症
- 境界性パーソナリティー障害
の方々との関わりが多くありました。
以下より具体的な業務について書いていきます。
相談支援業務
ソーシャルワーカーの主な仕事と言っても過言ではないことが相談支援業務。
- 電話相談
- 面談
- 訪問
という形で相談支援を行っていました。
また、当時の職場は『指定特定相談支援事業者』を兼ねていて、『計画相談支援』というサービスを行っています。
障がいのある方は、地域で継続して生活ができるように、福祉サービスを利用しています。
計画相談支援とは、このサービス利用に必要な計画案を作成し、それに基づく支援を行うことです。
詳しい内容は、以下をご覧下さい。
出典:厚生労働省
サロンの運営
主には、利用者のサロンへの登録手続き、プログラム活動などが挙げられます。
プログラム活動とは、利用者同士の関わり構築や、日中活動を楽しんでいただくための行事やイベントです。
活動内容は月に1回のお茶会で利用者と一緒に決めており、
- 料理
- 卓球
- 風船バレー
- フラダンス
- 散歩
- クリスマス会
- 女子会・男子会
- ヨガ
などがありました。
月間スケジュールが決まったら、プログラム月間スケジュールを作成し、サロンに登録されている利用者さん宅へ送付することもソーシャルワーカーの仕事。
送付をすることで、サロンに足を運べない方にも取り組みを知ってもらえ、外に出るきっかけに繋がるという効果があります。
啓発活動
地域住民にも障がいへの理解を深めてもらうために、学生へのボランティア育成活動や、住民も参加できるような夏祭り等のイベント企画を行っています。
精神障がいを持たれている利用者と大学へ行き、自身の体験談を学生に話してもらったり、グループワークで交流を深めたりしました。
学生からの感想文を利用者とともに読みながら振り返りを行い、次の活動へと繋げていきます。
ソーシャルワーカーの1日のスケジュールは?

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業務内容が幅広いソーシャルワーカーの1日は、とにかくバタバタと過ぎていきます。
具体的な仕事内容には次のようなものがあり
- 訪問
- 病院や施設への同行
- ケース会議の参加
- 啓発活動
- 面談
- サロン業務
- 電話対応
- 個別記録の記入
利用者と関係構築をしていく必要があります。
以下に私が勤務していた施設での1日の流れをお伝えします。
出勤
9:00に朝礼が始まるのでそれまでに出勤。
出勤後は利用者や関連機関から入っている留守電を聞き、内容を書き留めます。
サロン内のウォーターサーバーにお茶と水の準備を行います。その際に来所されている利用者へ挨拶。
電話対応
業務開始から、利用者からや関連機関からの電話がたくさん入ってくるので対応します。
午前
面談2件
1人の面談時間は大体30分~1時間程。
面接の内容は個人によって変わりますが、利用者の話を傾聴しながら、共に内容を整理するということを意識していました。
訪問1件
利用者宅へ訪問し、計画相談支援の一部であるモニタリングを行います。
モニタリングとは、利用者が継続的に福祉サービスを利用するために必要な確認作業のようなもの。
困りごとやサービスの変更したい箇所はないか等聞き取りを行い、書類に印鑑をもらって役所に提出します。
昼休憩
サロン内で利用者とコミュニケーションを取りながら昼食を取ったり、事務所のスタッフが手薄の時は、電話対応をしながら事務所で食べたりします。
日々の業務に追われ、利用者との関係構築の時間がなかなか取れないことから、食事をしながら利用者との時間を楽しんでいました。
午後
個別ケース会議
利用者を支援する関連機関で集まり、課題の共有と、それぞれの機関の役割を確認するために行います。
会議を行うことで、課題解決(ゴール)に向かって連携しながら支援することができました。
プログラム活動
サロンのプログラム活動で、今回はフラダンスを例に書きます。
13:00頃からフラダンスの先生をお迎えして、参加希望の利用者と共にフラダンスを楽しみます。
参加されている利用者の様子や変化などを意識して見るようにしていました。
15:00頃にフラダンス終了。
新規利用者の対応
新規のサロン利用希望者の対応もあります。
日中の過ごせる場所が欲しい等、状況のアセスメント(聞き取り)を行ってから、サロンについて紹介します。
16:00頃サロンの閉所。
退勤まで
1日の振り返り
17:30頃に本日の利用者の様子を職員同士で共有するために、振り返りを行います。
退勤までの時間で、利用者の個別記録をデータに打ち込みます。
勤務終了時刻
勤務終了は18:00くらいです。
残業は、個別記録の打ち込みや、先輩や上司に個別支援ケースの相談を行っていることが多くありました。
ソーシャルワーカーの給料や年収は?ボーナスはある?

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給料は勤務先によって異なってきます。
市役所や福祉事務所などの行政機関、総合病院などで勤務している場合は一般的より高めなことが多く、施設や事業所で勤務している場合は低めのところが多い傾向が。
給与問題は長年の福祉業界の課題でもあります。
基本給・年収
大学を卒業後の 20代前半の初任給で18万円前後でした。
社会保険料等を差し引いた手取りは16万前後です。
年収は賞与込みで、250万前後になります。(勤務1年目~2年目)
これらはソーシャルワーカーの一般的な額よりは低めですが、勤務先に加え、主任、係長などの役職があるかによって大きく変わってきます。
資格手当・夜勤手当
こちらも勤務先や役職によって変わってきます。
社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士等のいずれかの資格を所持している場合、毎月の基本給にプラス5000円〜支給されました。
夜勤での勤務がある部署は夜勤手当があります。金額は5000円~支給されます。
賞与
年に2回(6月・12月)基本給の約2ヶ月分が賞与として支給されます。
2回分で約36万円(手取り32万)程度でした。
ボーナスの支給額も給与と同様に、
- 勤務先の規模
- 経営状況
- 本人の経験
- 勤続年数
で異なります。
ソーシャルワーカーのやりがいや魅力は?

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『どちらが励まされているのか分からない!』
まさにそう思うことが多く、難しい仕事だとはいえ、利用者から受ける恩恵はたくさんありました。
私が思うこの仕事のやりがいや魅力を以下でご説明します。
相手の人生に密着できること
利用者は、それぞれの障がいと向き合いながらも、懸命に生きられていると日々感じていました。
過去には行けなかった場所に行けるようになったり、これまで出来なかったことが出来るようになったり、日々前向きに生きている利用者にこちらが励まされていました。
そのきっかけに自分が携われていることに、喜びとやりがいを感じました。
自己成長に繋がること
利用者と関わる中で自分自身のことを見つめることができ、自己成長にも繋がりました。
最初は全く心を開いてくれなかった利用者と関わる際に、『どう関わってこう…』と考えながら行動を起こした結果、少しずつ距離が縮まっていき、心を開いてくれる瞬間までの過程でも学べることはたくさんあります。
- 辛抱強さ
- 冷静さ
- コミュニケーション能力
- コーディネート力
などが特に鍛えられました。
また、「ありがとう!」と感謝されることが多いので、自分への自信を感じられることも嬉しいです。
支援に正解がないこと
利用者の抱える状況や悩みは個人で異なることから、支援の正解というものがないところが、この仕事の非常に難しいところ。
しかし正解が無いからこそ、利用者の想いを第一とし、関連機関も一体となって正解を作っていけるところにやりがいを感じていました。
課題をクリアしたときの達成感を、利用者やスタッフ、関連機関と味わえる時が1番嬉しい瞬間でした。
スタッフ同士の絆が深まること
困難なケースに共に介入し、解決に向けて伴走するスタッフ同士の絆はとても深まりました。
バーンアウト(燃え尽き症候群)を防ぐためにも、辛い時や苦しいことも共感しあえる仲間や職場環境は、この仕事では何より大切になってきます。
実際に私も、当時の上司や先輩、同期にはとても助けられました。
オフの日も、共にリフレッシュしに出かけたりマラソン大会等に参加したり、当時は同期や先輩たちと楽しい日々を過ごしていました。
ソーシャルワーカーに向いてる人は?

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『相手の幸せも、自分の幸せも両方大事!』
バーンアウトしやすい職業だからこそ、双方のバランスを調整できることが、この仕事を継続するために必要な鍵となります。
対人支援業務は、相手からの影響を受けやすい職であるので、自分の心の声を聴きつつ、仲間を頼りながら出来る仕事だと思うからです。
これを元に私が思う、ソーシャルワーカーに向いてる人を説明します。
相手の人生に寄り添える方
ソーシャルワーカーを含め、福祉職は人の人生にとても密接に関わる職種であり、『人が好きで、困っている人の力になりたい!』と思われている方にはとてもオススメ。
特にソーシャルワーカーは、
『相手の持っている力や、強みを存分に引き出せるか』
に着目して支援を行うことが重要で、福祉の専門用語では、これをエンパワメントアプローチと呼んでいます。
支援を行う最中で、辛くなり投げ出しそうになることもありますが、相手と向き合い続ける信念が大切です。
1人で抱え込まず相談できる方
ソーシャルワーカーは困難な個別ケースを1人で担当することが多い為、バーンアウトに繋がりやすいと言われています。
時には利用者の感情に振り回されたり、攻撃を受けてしまったり、思うように上手くいかない事も多くあります。
私もついつい1人で抱え込んで、苦しくなったことがありました。
これを防ぐためにも他のスタッフに相談し、一緒に課題について考えてもらうことが大切です。
細かいほう・れん・そう(報告・連絡・相談)ができることも重要なポイント。
どうか1人で抱え込まないでくださいね!
コーディネート業務が得意な方
上記にも書いた通り、ソーシャルワーカーは様々な関連機関と連携を取る場面が多くあります。
また、その中でもソーシャルワーカーが中心となり、各機関の意見を取りまとめたり、連絡したりする場合が多くあるため、コーディネート業務が得意な方が望ましいです。
ケース会議においても進行役になることが多く、ファシリテーターのような位置付けでした。
マルチタスクが得意な方
複数の困難ケースを同時に担当することが多いことから、決して単純ではないこの仕事。
それぞれの利用者の状態や課題の難易度も変わります。
これにより、頭の切り替えと整理する技が重要になります。
私はシングルタスクなタイプだったことが分かり、困難ケースが続くと頭が混乱してきたこともありました。
業務を通じて、
『自分がとのようなタイプで何が好きで得意なのか』
など自分を知ることが出来ました。
これは対人支援にあたって大切で、実際に利用者支援にも活きてきます。
自分の感情を大切にできる方
福祉職を目指される方は、『誰かの力になりたい!』と思われているような、心優しい方が多いように思います。
私はオフの日にも、気が付かない間に利用者のことをいつも考えていて、無気力状態になりました。
いわばこれはバーンアウト状態で、福祉職の人には非常に陥りやすい問題です。
当時は『私自身は何がしたいんだろう??』と考える余裕がなく、自分のやりたいことが分からなくなりました。
その結果、大好きだったソーシャルワーカーの職を一旦離れることにしたのです。
相手も大切ですがやっぱり自分も大切です。
是非日頃から自分自身と向き合う時間を取り、心の声を聞いてみてくださいね。
オンとオフの切り替えが出来ることもポイント。
ソーシャルワーカーになるにはどうすればいい?

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社会福祉士・精神保健福祉士になるためには、年に1回(毎年2月上旬)に行われる国家試験での合格が必要です。
出題項目は共通する科目はありますが、社会福祉士は19科目、精神保健福祉士は13科目と非常に多いです。
受験を検討されている方は、勉強時間の確保をしてくださいね。
社会福祉士国家試験は、合計で60%程度の正解率が合格ラインですが、19科目のうち1科目でも0点があれば不合格となってしまいます。
合格率は30%程度で、難易度は高めです。
試験に合格した後、社会福祉士・精神保健福祉士として働くためには登録申請が必要でした。
双方ともの国家試験を受ける前に、『国家試験受験資格』という国家試験を受けるための証明が必要になります。
その取得方法は、多くのパターンがありますが、代表的な方法を以下にまとめました。
福祉系の4年制の大学で指定科目を履修
私は実際にこのルートで受験資格を取得しました。
大学を卒業と同時に受験資格を得られるため、即国家試験を受けることができました。
指定科目の中には現場実習も含まれています。
私は大学3回生で社会福祉士実習で社会福祉協議会へ、大学4回生には精神保健福祉士実習で精神科病院へ行きました。
福祉系短大等(2年)で指定科目を履修・卒業し、相談援助実務を2年以上経験する
2年制の短期大学を卒業した場合は、相談援助実務が必要なため、受験資格の取得までにかかる時間は約2年間です。
3年生の大学であれば、実務経験が1年必要になります。
通信教育講座を利用する
一般大学(4年制)を卒業された方や、社会人の方、主婦の方等にオススメのルート。
一般養成施設(福祉系の専門学校)で指定のカリキュラムを学び、卒業することが必須ですが、通信制でも対応している学校が多数なので、働きながらでも受験資格を得ることが可能です。
既に業務経験があるかによっても、取得ルートは変わってきますので、詳しくは以下のサイトを参照ください。上記の他にも多数のルートがあります。
出典:介護求人ドットコム
まとめ

出典:pixabay
いかがだったでしょうか?
少子高齢化やニーズの多様化により、今後ますます需要が高まることから、今注目されている、ソーシャルワーカーに興味を持っていただけたら嬉しいです。
現在私は福祉職を離れていますが、利用者と共に、問題解決のために一緒に考えたり、寄り添ったりするこの仕事が今でも好きですし、誇りを持っています。
今福祉職で働いてる方は、ご自身の気持ちをもっと大切にしてみると、さらに心地よく働けるかもしれません。
これからソーシャルワーカーとして働かれる方は、まずは利用者との関わりを純粋に楽しんでみてくださいね。
きっと素敵な関係性が構築され、利用者に励まされながら、自分の成長を感じることが出来ると思います。
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