話を聞かない後輩、頼りにならない同僚、やたら細かい部分を指摘する上司……。
普段の交友関係とは異なり、様々な年代、性格の人と共に働く職場では、苦手な人や合わない人がいても不思議ではありません。
良いところに目を向けようとしても、どうしてもイライラしてしまったり、何気ない一言に落ち込んだりしてしまうことも。特に、仕事に責任を持って向き合う人ほど、考え方やスタンスの違いが大きい人に対してネガティブな感情を持ってしまうでしょう。
ただでさえ忙しく、ストレスフルな毎日。ネガティブな感情に振り回されてしまう前に、少しだけ捉え方を変えると楽になるかもしれません。ここでは考え方を変えるいくつかの方法をお伝えします。
相手の性格を分類して、対処法を考える

出典:ぱくたそ
苦手な相手でもコミュニケーションを諦めず、建設的に関係を築こうとする場合におすすめの考え方です。
まずは身の回りの人たちを4パターン=4人のキャラに分け、それぞれに応じたコミュニケーション方法を試してみましょう。
そもそも、どんなキャラクターがいるの?
当たり前ですが、人の性格は様々なので、一概に分類することはできません。けれども、あくまでも大まかな傾向として、ざっくりと下記の4つのキャラに分類することができます。
- 好きなものは効率と成果。そして成果を出せる俺!ビジネスライクな兄貴(姉御)肌のリーダータイプ
- 好きなものはおしゃべりと楽しいこと。とりあえず楽しそうだし勢いでやってみよ!コミュニケーション命の陽キャタイプ
- 好きなものは計画と準備と確実性。臨機応変より常に正しい結論を導き出すことが大事でしょ?几帳面な研究者タイプ
- 好きなものは秩序と平穏。毎日穏やかに、みんなと自分が仲良く過ごしていればそれだけで十分です!平和主義者タイプ
こんな人、周りにいるかな?と思った方もいるかもしれません。では、それぞれのキャラクターの分類方法を見てみましょう。
見分けるポイントは「話し方」と「表情」!
まず、リーダータイプと陽キャタイプは、どちらも能動的に人に働きかけて目的を達成しようとするタイプです。「話す」「聞く」で分けるなら「話す」、「攻める」「守る」なら「攻める」を選ぶタイプです。
一方、研究者タイプと平和主義者タイプはやや受動的。人から働きかけられたことに対して、どのように反応するかを考えるタイプです。「話す」「聞く」で分けるなら「聞く」、「攻める」「守る」なら「守る」を選ぶタイプです。
この違いが如実に出るのが話し方。リーダータイプと陽キャタイプはやや早口であったり、饒舌気味。研究者タイプと平和主義者タイプは落ち着いた穏やかな語り口で、そもそも口数が少ない方もいるでしょう。
もう一つのポイントは表情です。リーダータイプと研究者タイプはそれほど感情を表情に表しません。話す時も聞く時もクールな表情でいることが多く、リアクションも薄めです。
陽キャタイプと平和主義者タイプは感情豊かな表現をすることが多く、特に陽キャタイプは話す際に擬音をよく用いたり、喜怒哀楽がはっきりしています。平和主義者タイプはいつもにこにこしながらうなずいてくれることが多いでしょう。
まとめると、
- 口数が多く、表情がクール → リーダータイプ
- 口数が多く、表情豊か → 陽キャタイプ
- 口数が少なく、表情がクール → 研究者タイプ
- 口数が少なく、表情豊か → 平和主義者タイプ
である傾向が高いです。ぜひ、周りの人を当てはめてみてくださいね。
タイプ別の取扱説明書
リーダータイプ

リーダータイプは上昇志向が強く、成果主義。自分が主導権を握りたい人が多く、他人から指図されることは嫌いです。それは、自分に自信を持っているから。自分が努力して成果を上げてきたというプライドがあるからこそ、自分が認めていない相手にあれこれ言われることが許せません。頑張っている姿は見せないかもしれませんが、努力家なのです。
成果主義の考え方から、ビジネスライクで無駄話も嫌いです。仕事も効率的かつロジカルに進めることを良しとしています。要点をまとめて伝えることは大前提。根拠やデータがない提案には価値を見出しません。「なんとなく良さそうだ」といった勘やフィーリングに同意することはないでしょう。
このタイプが好むのは、「上昇、成長しようとする姿勢」。たとえ失敗しても、勉強したり人に教えを乞いながら再チャレンジする姿勢を見せると、その気概や努力に見所を感じてくれるでしょう。自分に自信を持っている分、面倒見も良い傾向があるので、「教えてください」と話しかけると嬉しくなる人も多いです。
要注意ポイントは、相手とのポジショニング。プライドが高いので、「軽んじられた、侮られた」と感じさせる言動は地雷です。何かの決断を委ねる時も「これでいいですよね?」ではなく、「自分はこう考えていますが、〇〇さんがどう考えているかを教えていただけませんか?」と尋ねてみると良いでしょう。
相手をさり気なく立ててあげるとスムーズにコミュニケーションが進むでしょう。ただし、「すごい!」「さすが!」などの根拠がない褒め言葉より、「勉強になります」など、相手の自信の源や努力を認めているというアピールの方がより響きます。
陽キャタイプ

陽キャタイプはムードメーカー。ノリがよくアクティブで、良くも悪くも楽観的なアイデアマン。この性質がうまく作用すると、新しいサービスやビジネスを生み出したり、一気に物事を動かす原動力になります。一方、悪い面が出るとツメの甘さが露呈することも。
相手の肩書きよりも、アイデアに対して一緒に盛り上がれる相手かどうかが判断軸になりがち。とはいえ、自分のアイデアに固執するタイプではありません。協調性が高く、他人のアイデアの方が良いと思えば「それいいね!」と素直に乗っかる柔軟性も持ち合わせています。
このタイプが好むのは「面白さ」。意見を出し合うディスカッションも好きなので、話し合いの場ではどんどん意見を促すと張り切ります。アイデアを挟む余地のない、既に決められた物事に対しても「ミッションをこなすと、みんなにとってこんなに良いことがあるよ」とビジョンを膨らませてあげるとモチベーションにつながるでしょう。
要注意ポイントは、否定的な姿勢。ノリの良さや楽観的なアイデアは時にツッコミどころも満載ですが、頭ごなしに否定したり、ネガティブ要素だけを指摘されるとやる気が萎んでしまいます。懸念を指摘する時は、あくまでも「より良い方向に進めるために」という視点から、一度肯定し、要点を手短にまとめてあげると良いでしょう。
自分の言動が周りにとってポジティブな影響を与えていることを体感すると喜びを感じるタイプです。「面白いアイデアだね!」「あなたといるとミーティングが楽しい」など、明るく伝えてあげると、ますます張り切る力になります。
研究者タイプ

研究者タイプは知識や正確性、クオリティを重視します。ロジカルさはリーダータイプと通じる部分もありますが、より良い成果を目指して新しい手法にチャレンジしていくことも厭わないリーダータイプに対して、「新しい手法は、踏襲されている手法より効率良く、クオリティの高い成果を出せるのか?一度成功したとしても、再現することはできるのか?本当にその条件は正しいのか?」と、より深く検討し、納得するまで進まない慎重さが研究者タイプの特徴です。
饒舌に相手に主張するというよりも、とことん熟考する人が多い傾向にあります。話し合いの場では自分の思考ペースとディスカッションの進行がずれてしまうこともしばしばあり、懸念を抱えつつ発言できないことも。
このタイプが好むのは「データと根拠」。最終的に質の高いアウトプットを求めるため、自分の意見も正確に発言したいと考える人が多いです。考えるための客観的な材料と、自分の考えをまとめるための時間をしっかりと与えることが、スムーズなコミュニケーションの鍵になります。
要注意ポイントは、抽象的な言葉や急かし立てること。正確さを重視するタイプなので、抽象的な話に対しては困惑してしまいます。また「要点のみを簡潔に」などの言葉も要注意。一見関係なさそうな詳細も重要な前提条件として捉えているので、「どうして正しく理解しようとしてくれないんだ」と感じてしまう原因に。聞き手側が都度、話の要点を整理することが大事です。
自分の知識や技術、専門性について誇りを感じている人が多いので、「先日教えていただいた〇〇の知識が、今日の営業でこんな風に活きました!」というように、相手の得意領域について具体的に褒めて伝えると喜ばれます。
平和主義者タイプ

平和主義者タイプは人間関係や協調性を第一に考え、争い事にストレスを感じます。常に他者を優先し、自分の言動が相手にとってどのように受け取られるか、影響を与えるかを考えて行動することが多いでしょう。相手の期待に応えること、みんなのためになることが大きなやりがいです。
頼まれごとを断るのが苦手で、自己主張も得意ではありません。自分の意見はあるのですが、それを発することで争い事が生まれてしまうのであれば、黙っていようと考えます。意見を活発に戦わせるようなディスカッションも、ストレスとして感じやすい傾向にあります。
このタイプが好むのは「協調と共感」。居心地の良い穏やかな空間を重視する一方、他者優先の意識が強すぎて、なかなか自分の意見を表明しづらい傾向もあります。そのため、意見を求めるときは「あなたの意見がみんなの参考になる」など、伝え方を工夫することも必要です。急かし立てることなく、頷くなど共感の姿勢を見せながら、ゆっくりと話を聞くと良いでしょう。
要注意ポイントは、強い口調や無関心。決してそのような意図がなかったとしても、きつい言葉や大声でのやりとり、また、無表情だったり素っ気ない会話は「怒っているの?」と不安にさせてしまいます。笑顔を忘れず、クッション言葉を入れるなど、思いやりを感じさせる会話を意識しましょう。
「和を以て貴しとなす」の精神で、お互いのことを尊重し、大切にし合う関係性や空間を好むタイプです。「ありがとうございます」「助かりました」など、労いや感謝をこまめに笑顔で伝えると、良い関係性が築けるでしょう。
その他の考え方は?

やっぱりコミュニケーションがうまくいかない、という時は無理に関わることをせず、適度に距離を取りながら学びの材料にしたり、受け流すことでやり過ごしましょう。
他人は他人、自分は自分。心の中に線を引き、自分がやるべき仕事にのみ集中できるように考え方を転換しましょう。
反面教師にする
世の中には「反面教師」という言葉があるくらいです。嫌なことをされた場合、それを自分の教材化してしまう、というのも手です。
特に、困りごとに対して「どうして、こうしてくれないんだろう」と思ったときはチャンス!ぜひ、その場の状況と、自分がしてほしかったことを覚えておきましょう。今後、自分と同じように困っている人がいた際には、自分がしてほしかったことを試してみてください。
例えば日和見で判断力のない上司に対しては、理想の上司の条件を明確に想像してください。ひとつひとつの条件を意識しながら仕事に取り組み、自分自身が理想の上司になれるようにイメージトレーニングを積んでみるのも良いでしょう。
キャラクター化して受け流す
相手のことを考えたくもないし、極力関わりたくない。でも関わらなければならない、という時は、「そのような性格設定を持つキャラクター」というように割り切ってしまいましょう。
冒頭に挙げた4分類と違うのは、さらに個人レベルに落とし込んで、もっと客観的に捉えてしまうこと。「学園ドラマだったら嫌がらせをする先輩として描かれそうだなあ」とか、「バトル漫画のチョイ役ですぐやられそうだなあ」とか、相手を架空のキャラクターとして接します。
相手の嫌な部分をフィクションの設定として捉えることで、深く受け止めず、受け流しやすくする作戦です。
ただし、相手を侮っているように見られてしまうと余計に関係を悪くしてしまうので要注意。あくまでも頭の中で、自分の心を守るために発想転換しましょうね。
まとめ

仕事をする以上、避けられないのが人間関係。苦手な人に対して、「どうしてこの人はこうなんだろう」「もっとこうしてくれればいいのに」と感じることもあるでしょう。
ですが、人を変えるよりも自分を変えたほうが早いものです。視点と捉え方を変えて、できるだけストレスの少ない環境を自分から作り上げていきましょう。
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