現在の情勢により、住まいや働き方を含めた生き方を考え直したいと今後さらに地方移住を考える人々は増えていくと感じています。
そこで、地方移住するための1つの方法で、私も実際に経験した『地域おこし協力隊』という制度をご紹介します。
私は元兵庫県佐用町の協力隊だったので、佐用町を例に説明していきます。(2016年~2019年頃の情報なので、現在は一部変わっている可能性あり。)
※佐用町の場所は兵庫県の西に位置しており、岡山県の県境になります。
出典:佐用町
地域おこし協力隊とは
出典:pixabay
協力隊は何かと一言でお伝えすると、
『都会から少子高齢化や過疎地域になっている地域へ住民票を移して移住し、それぞれの地域ミッションを行いながらその地域へ定着・定住すること』です。
詳細は以下のサイトをご覧ください。
協力隊になるためのステップ
「皆さん。地方移住をして、その地域に住んでいる自分をイメージするとわくわくしてますか?」
これが0ステップだと考えます。
この気持ちがあるのを大前提として、次へ話を進めていきますね。
以下は実際に私が協力隊になったステップをお伝えします。
- 上記のサイトや町独自のHPなどで、地域おこし協力隊の募集要項を確認
- 神戸で佐用町が出展しているイベントに参加(本来は町に足を運びたかったが都合がつかず…)
- 協力隊の応募書類を郵送にて提出
- 佐用町役場で面接を受ける
- 合格がわかり、移住前に母と町を訪問し担当者に町を案内していただく
- 指定された住宅へ引越しを終え、住民票を移して移住完了
という流れで協力隊になりました。
3年の任期付き制度
協力隊は最大で3年間という任期があります。
佐用町の場合は1年ごとの更新制で、最大3年の期限付き雇用でした。
そのため卒業後の進路について、任期中に考える必要があります。
給与・待遇
自治体によって異なりますので、移住先の自治体の情報を確認してください。
佐用町の場合は役場との雇用契約があり、協力隊期間中においては最大3年間は給与(当時は17万円程)も保証されていました。※雇用契約のない自治体もあります。
また住まいとして指定された住宅を無償で貸与していたり、健康保険制度や社会保険制度等も保証されていました。
当時は佐用町に移住をするのにも安心感があったのを覚えています。
(平成28年度募集の場合)
地方移住をして協力隊になった理由
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当時は20代前半で、知り合いのいない地域へ1人で移住することへの不安はあったものの、わくわく感が上回り、気がついたら行動していた状況でした。
そんな私が何故協力隊になったのかをお伝えします。
心地よい働き方を模索していた
挑戦したいと思った1番の目的は、協力隊という仕事や働き方に興味を持っており、『働き方を含めた心地よいライフスタイル』を見つけたかったからです。
当時は今後の生き方について悩んでいて、田舎でのんびりと考えたいと思っていました。
そのためにも、
- 『佐用で様々な経験や挑戦をしたい!』
- 『佐用で何か面白いことやってみたい!』
という気持ちもありました。
田舎暮らしに魅力を感じた
もともと田舎や自然が大好きで、田舎暮らしをしてみたかったという気持ちもありました。
佐用は季節ごとに様々な花が咲き、夜には星が綺麗でとても癒されます。
また田舎に住むことで、自然の移り変わりなども楽しめます。
移住先に兵庫県佐用町を選んだ理由
協力隊制度を取り入れている自治体は全国に数えきれないぐらいある中で、移住先を佐用町を選んだ理由についてです。
地方移住を検討されており、移住先に迷われている方などの参考になれば嬉しいです。
まず、移住を検討する前に、佐用町のひまわり畑に足を運んだことがあり、感動した過去がありました。
それを踏まえて佐用町に決めた理由を2つご紹介します。
①1番の理由は、当時の協力隊担当者さんに着いていきたいと思った!
移住理由を挙げる中で、『人』の影響ってとても大きいと思っています。
『この人に着いていきたい。』と思った担当者さんとの出会いは、神戸での地域活性関連のイベントでした。
事前に佐用町が協力隊を募集しているのを知り、そのイベントで協力隊について話を聴きたいと思い、足を運んでみました。
私が移住する際に不安に思っていることなどを話すと、親身に受け答えをしてくださり、実際に移住してからもたくさん助けてもらいました。
協力隊を検討されている方は、担当者との相性も重要だと思います。
②実家のある大阪から、アクセスが良い!
- 電車(JR姫新線、智頭急行線)が通っており、特急列車も止まる⇒特急列車に乗って、大阪から約1時間半、神戸から約1時間20分
- 高速道路(中国自動車道)も通っており、大阪までのバスも出ている
- 大阪や神戸にアクセスがいいだけではなく、鳥取県や岡山県とも隣接しており、とても良い位置にあると思った
中には鉄道が通っていない地域もたくさんあります。
佐用町での生活は車が必要とはいえ、移住初心者にオススメの地域だと思います。
協力隊の活動内容
出典:unsplash
協力隊の活動内容・ミッションは多岐に渡るので、それぞれの地域の情報を確認し、希望の内容のものを選択してください。
私の場合は、佐用町役場内に定住促進コーディネーターとして配置され、活動を行いました。
大まかな活動ミッションは、町内の空き家活用や対策・移住定住支援でした。
主に大きく分けて4つの活動を行ってきたのでご紹介します。
①発信活動
振り返ると、協力隊の活動中に最も力を入れた活動だったように思います。
当時私が発信のために使っていたサイトは、個人でのブログを含めて10個程度でした。
主には佐用町の魅力や移住生活の様子、町内の空き家のことやイベント情報などについて日々発信をしていました。
◎協力隊はSNSなどを使って移住者目線での発信を求められることが多いです。
②空き家バンク制度のサポート
空き家バンク制度を簡単に説明すると、【空き家を売りたい貸したいという方々と、空き家を買いたい借りたいという方々を繋げるシステム】のことです。
定住対策チームに入り、制度の創設から携わりました。
私のポジションとしては、移住者目線で、移住を考えられている方々に空き家や地域の紹介を行ったり、空き家調査に出たりして、この取り組みを地域内外の方に知ってもらうことでした。
③移住希望者へのサポート
②とも関連してくるのですが、月に1回~2回ほど兵庫県が主催する、大阪や神戸で行う移住相談会に参加し、移住相談を伺っていました。
その際に、移住希望者のニーズに合うような、町内の制度や空き家を繋ぐ取り組みを行なっていました。
④移住女子活動
移住女子活動は協力隊ラストの年である3年目に行いました。
この活動を始めたきっかけは、純粋に『協力隊ラストの年!もっと皆で佐用町での暮らしを楽しみたい』と思い、同じ移住者の友人と始めました。
主には、
- 女子会開催:移住されている女性で集まって町内の古民家カフェなどで女子会
- 女子バスツアーの開催:移住を考えられている方向け(女性)向けのツアー
- 各種イベント企画&参加:各種祭りへの出展
などを行いました。
協力隊の活動を終えて見えたことは?
出典:unsplash
まず1番に思ったことは、『協力隊に挑戦してみて良かった』ということです。
そう思う理由と、実際に活動を通じて悩んできた点も含め、協力隊はどうだったのかについて書いていきます。
次の道(ステップ)に進むことができた
当時は卒業後の進路に悩みもがいていました。
任期が3年間ということにも焦りを感じていたのでしょう。
協力隊は卒業後もその地域に定住することが望ましい形なのですが、私の場合は結果的には地域を離れて別の道に進むことになりました。
理由は、最初のトピックでも述べたような心地よいライフスタイルを模索するためです。
とても悩んだ期間中でしたが、佐用へ移住したからこそ今の旦那と出会うことができ、次の道が開けたことは良かったと感じています。
見えないプレッシャーと戦っていた
誰から言われていたわけでもないのに、自分が地域をおこすために何かやらなきゃといつも思っていました。
地域おこし協力隊って、地域を起こすスーパーヒーローのようなメージありませんか?
協力隊になられる方も、『この地域を活性化させよう!』と意気込むことは素晴らしいことです。
しかしあまりプレッシャーを感じずに、『地元の方々と移住生活を楽しもう』ぐらいの方が肩の力が抜けて活動できると思います。
関係機関との板挟みに悩むことも
協力隊の活動では、様々な関係者が介入します。
正直、関連機関の板挟みになることもあり、敏感な性格を持つ自分にとっては辛いこともありました。
しかし、こういう自分に改めて気が付くことが出来、内面と向き合うきっかけになりました。
自分を知ることができた
活動を通じて自分の好き&得意・嫌い&苦手などを知ることが出来ました。
例を挙げると、佐用町の発信を続けていくうちに、文章を書くことが好きと気が付き、今webライターとしてこの記事を書いているきっかけにもなっています。
また、多くの協力隊が実施しており、私も実際に行っていた『企画提案』
これが苦手だったということに気が付きました。
単発な企画等の提案、実施をすることはできましたが、それを長期的に続けることが自分にとって難しかったように思います。
企画準備の際は、関連機関に気を遣いすぎていたり不器用だったりで、うまく人を頼れなかった時もありました。
協力隊になられる方はどうか1人で抱え込まずに、関連機関と十分なコミュニケーションを取りながら活動を行うようにしてくださいね。
活動を通じて、自分と深く向き合えるきっかけになると思います。
協力隊を検討されている方へ
出典:unsplash
ニーズに合ったエリアと条件を選ぶように
各自治体によって役所との雇用契約が無かったり、役所とはまた違う場所との契約があったり、様々な形態で協力隊の受け入れが行われています。
その他待遇や活動内容も、地域によってバラバラです。
エリアは、ご自身の実現させたいことや目的に合わせて選択することが大切です。
移住前にその地域に足を運ぶことがオススメ
移住を検討されている方は、移住先で幸せに暮らしてるご自身を自由にイメージしてみてください。
移住前にその地域へ足を運んでみることで、地域の雰囲気などが感じられ、イメージがより具体的になりますよ。
多くの自治体などで、移住を検討されている方のための制度があるので、この制度を利用すると、足を運ぶきっかけにもなります。
現地の方に地域を案内してもらいながら、地域の情報を聞くことができたり、地元の方と交流ができたり、他の移住者と繋いでもらったりすることも可能だと思います。
またどうしても多忙で地域に足を運べない…という方は、都会で随時行われているイベントや移住相談会などに足を運んでみることもオススメ。(現在はオンライン上で行われていることが多い傾向)
卒業後の進路を考える必要がある
上記にも述べましたが、協力隊の任期は最大で3年間なので、その後の生活を考える必要があります。
私は結果的には佐用を離れる選択をしましたが、実際には
- 地元企業に就職
- 継業
- 起業や副業
などで卒業後も地域に残られている協力隊の先輩方は全国にたくさんいます。
準備時間がかかるものもあるため、任期期間中から先を見て行動することが大切です。
地元の方々と移住生活をエンジョイして!
移住生活を純粋に楽しむことが何より大切だと思っていて、これが1番町おこしに繋がると考えています。
理由は、自分が生活を楽しんでいと、心の底から1人でも多くの方に町の魅力を伝えたいと思うからです。
さらに、あなたが移住生活を満喫されることで、地域や住民の方も忘れかけていた地域の魅力に再度気が付くことができ、ますます元気になっていきます。
まとめ
出典:unsplash
いかがでしたでしょうか?
協力隊は任期3年間という時間をかけて、様々な出会いや経験を経て、次のステップを考えることが出来ます。
『漠然と移住してみたい』と考えられている方にもオススメ。
移住する勇気は必要でしたが、田舎で挑戦する機会を持てたことは、確実に人生のプラスになりました。
この記事を通じて、協力隊として地方移住を検討されている方の肩を押すきっかけになれたらなと思います。
ぜひ生き方の選択肢の1つの中に入れてみてくださいね。
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