「銀行員」のイメージといえば、
- 難しそう
- 忙しそう
- 上下関係が厳しそう
など、業界的にもかなり堅い印象ですよね。
ドラマ「半沢直樹」を見て、「銀行ってこんなにドロドロしてるの?」と思われた方も多いかと思います。
ここでは、銀行員の営業員として3年間働いた経験を元に、仕事内容ややりがい、給料などを詳しくご紹介します。
銀行員の仕事内容ってどんな感じ?
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私が働いていた銀行は、地方銀行でしたが、その中でもかなり規模の大きいところでした。
銀行によっても分担が異なる可能性もありますが、銀行員の業務は、主に次のように分かれています。
- 内部事務
- 資産運用提案・相談業務
- 法人営業・債権管理
以下より具体的な業務についてお伝えします。
内部事務(テラー・預金・為替・融資業務)
皆さんが「銀行員」と聞いて一番に想像するのは、窓口でお客様の対応をするテラーのお仕事かと思います。
お客様が書いた伝票や書類を元に、入出金や振込などの処理を行います。
他にも、住所などの変更、お客様が失くした通帳やカードの再発行など幅広く対応するのがテラーの仕事です。
また、窓口で受け付けた処理を代わりに処理したり、営業さんが預かってきた取引先の事務処理を受け持ったりするのが、「預金」「為替」の仕事です。
また、法人担当の営業さんの事務処理を担当し、実際にお客さまへ融資の実行をするのが「融資」の仕事です。
ミスが許されないので的確に、かつお客様をお待たせしないように迅速に、業務を遂行することが大切です。
資産運用提案・相談業務
私が銀行員時代担当していたのがこの仕事です。
富裕層のお客様を中心に、資産運用の提案を行ったり、お客様のフォローを行います。
この業務担当は、窓口でお客様とお話をする窓口営業担当と、外回りとしてお客様のお宅に訪問する渉外担当に分かれています。
主に取り扱っていたのは、投資信託や保険、外貨預金などの運用商品です。
預金残高の大きいお客様に対して、運用のご提案をしたり、既に金融商品を保有しているお客様のアフターフォローを行います。
お客様自身の大事なお金のお話をするので、「この人なら安心して相談できる!」と思ってもらえるような信頼関係を築くことが大切です。
法人営業・債権管理
主に法人のお客さまへ、金融を通して、お客様の会社の経営や事業のサポートを行います。
融資の提案以外にも、お客様の事業支援としてM&Aやビジネスマッチングなどの提案を通してお客さまの会社のさらなる成長をサポートするのが法人営業の仕事です。
また、融資した資金の返済が難しくなってしまったお客様に対して、今後の返済のためのサポートを行うのが債権管理仕事です。
銀行員の1日のスケジュールは?
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資産運用提案・相談担当としての私の銀行員時代の1日の流れをご紹介します。
現在は様々な種類の金融商品があるため、お客様のニーズに沿った提案ができるよう、
日々の情報収集や勉強は欠かせません。
また、たくさんのお客様を担当し、どのお客様に対しても適切なフォローができるよう、アポイントの管理も大切です。
出勤
出勤したらまず毎日変動する世界の情勢を把握するため、日経新聞を読むことから始まります。
世界でどのような事象が起こり、マーケットがどう変化していくのかをタイムリーに知ることは、お客様への提案やフォローを行うために不可欠です。
その後は支店内で「朝会」と呼ばれるミーティングがあります。
1日の予定や連携事項を支店の行員内で共有します。
私の支店では、全体の朝会の後に資産運用担当の営業員だけで再度朝会を開き、日経新聞の情報や新商品などの情報を共有し合っていました。営業は一人ひとり行うものですが、支店ごとにチームとなって協力し合っていました。
開店 業務開始
9時に支店のシャッターが開きます。
窓口にいらっしゃるお客様の対応を行います。
先述で紹介したテラーのお仕事とはまた別の窓口ですが、混雑した場合は、その応援に入ることもあります。
朝のうちに1日のアポイントを確認し、どんな提案やフォローを行うか計画を立てます。
お会いしたお客様と様々なお話を通してニーズを伺い、お客様の悩みを解決できるような金融商品の提案をします。
お昼休憩
銀行の支店はお昼の時間でも開いているので、行員は交代でお昼休憩を取ります。
お昼の時間は、支店の食堂で他の行員さんやパート勤務の方と他愛も無い話をして気分をリフレッシュしていました。
閉店 締め作業
15時に支店のシャッターが閉まり、自分の窓口の勘定の締め、端末で処理した伝票の数合わせをします。
よく、「1円でもずれていると、合うまで帰れない」という話がありますが、あれは本当です。
見つかるまで支店の皆で床を這ってお金を探します。
大体は処理上の金額の入力ミスが原因であることが多いですが(笑)
テレアポ・勉強会・夕会
勘定が締まった後は、明日以降の営業活動のため、お客様へテレアポを行います。
そこで実際にアポイントを取ったり、お客様の事情をヒアリングし、今後の予定を作っていきます。
投資信託会社や保険会社の方を招いて勉強会を開催することもあります。
成約事例などをお聞きすることで、自分の営業活動の参考にします。
また、朝会と同じように資産運用業務担当の行員だけで「夕会」を開き、1日の報告や反省、案件の相談を行います。
退勤
働き方改革により、残業に対してかなり厳しかったので、遅くても18時には完全退社でした。
残業が多くなると、自分自身の評価が落ちます。
日によっては18時からアポイントが入ることもありましたが、その場合は出勤を遅らすなど、フレックス制度を利用していました。
退勤後は、自己啓発のため資格の勉強をしたり、同期や先輩後輩と飲みにいくことが多かったです。
銀行員の給料や年収は?ボーナスはある?
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気になるのは「給料」や「年収」、「ボーナス」ですよね。
銀行員は世間では、給料が多いイメージがあるようですが、実際の銀行員のお金周りの事情を紹介します。
基本給
大卒の基本給は20万5000円ほどです。
この水準自体は、一般企業では標準かな?と思います。
ただ、あくまで基本給なので、手取りは17万程度。
私が働いていた時は手取り20万円いかないくらいでした。
残業代
働き方改革やフレックス制度の導入により、残業代で稼ぐことは不可能も同然です。
1ヶ月の残業はせいぜい10時間程度です。
上記で紹介した手取りは、この残業代も含めた金額です。
昇給・賞与
1年に1回の昇給と、年2回のボーナスがあります。
事務・窓口営業・渉外でボーナスのテーブルが異なり、上期、下期ごとに、支店長による1〜10の評価に応じた賞与となります。
期初に与えられた目標の達成率で評価が決まるので、頑張っただけ高い評価を得られます。
銀行員のやりがいや魅力は?
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銀行員時代は、「大変そうだね」「ストレスが多そうだね」と言われることが多かったです。
実際に銀行の営業員として働いた3年間はとにかく苦労ばかりでしたし、
辛いこともたくさんありました。
ただ、転職した今でも、「銀行員になって良かったな」と思うことも多いです。
そんな私の目線で、銀行員のやりがいや魅力をご紹介します。
人生に必要なお金の知識を学ぶことができる
一番大きいのはこれです。
銀行には、様々な悩みを抱えたお客様がご来店されます。
銀行では、預金関連はもちろん、口座の開設や資産運用や相続などの手続きも受付しています。
将来の資産形成に悩んでいる方や、節税、相続対策を考えている方。
とにかくたくさんのお客様とお会いしてきましたし、そんなお客様の悩みを解決すべく、自分自身の知識を増やすためにたくさん勉強しました。
銀行員にならなければ知り得なかったことがたくさんあります。
「お金」はどんな時も切っても切れないものだからこそ、幅広く正しい知識を持つことは、必ず自分自身の人生を助けてくれます。
幅広い年代の人と会える
銀行には学生さんからご年配の方まで、幅広い年代のお客様が来店されます。
生まれたばかりのお子さまの貯金口座開設にやってくる方や、現役バリバリで働いている地元の企業の方、自分の相続について心配されているご年配の方。
皆さんそれぞれ、悩みや考えていることが違うので、ライフスタイルごとの解決方法を一緒に考えていく時間はとても貴重だったなと思います。
これほど様々な年代の方とお会いしてゆっくりお話をすることができるのは、銀行員ならではの醍醐味です。
お客様との信頼関係
銀行員として働いていて、一番やりがいを実感できるのがこれです。
「金融商品」という形のないものを取り扱うこそ、お客様との信頼関係が大切です。
お客様に寄り添って、お客様の立場で考えて相談に乗ったり、解決策を提案することで喜んでもらえたり、自分を頼ってお話をしてくださることがとても嬉しかったのを覚えています。
特に用がなくても
「顔を見にきたよ」と言って支店に寄ってくださる方もいました。
「銀行員とお客様」という関係を超えて、「人と人」という形で信頼関係を築けることにやりがいを感じることができます。
自分自身のスキルアップを目指せる
銀行員はとにかく必要な資格が多いです。
入行前に必ず取得しなければいけない資格もありますし、取得することによって昇格・昇給のある資格もあります。
代表的なものは「ファイナンシャル・プランナー(FP技能士・AFP/CFP)」です。
仕事をしながら資格の勉強をするのは体力的にも精神的にもかなりキツかったのですが、
銀行員時代も、転職した今でも役に立っている資格なので、取得しておいて良かったと思っています。
ワークライフバランスを大切にできる
ほとんどの銀行は福利厚生が充実しており、働き方改革も積極的に取り組んでいるところが多いです。
部署にもよりますが、残業はあっても1時間くらいですし、基本的に早帰りが推奨されるため、定時で帰りやすい雰囲気です。
また、有給は必ず取得するように厳しく言われていました。長期休暇を使ってゆっくり旅行に行くこともできます。
また、女性は産休をとって、復帰後も時短勤務が可能です。長く働くための制度が整っています。
銀行員に向いてる人は?
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お客様との信頼関係を通してやりがいを感じられるだけでなく、自分自身のスキルアップも目指せるのが銀行員です。
では、どんな人が銀行員に向いているのでしょうか。
真面目で誠実な人
お金を扱う仕事なので、信頼第一です。
お客様に対して真面目で誠実に向き合うことができる方が銀行員に向いていると思います。
また、主に事務面はマニュアル化されているものがほとんどなので、忠実に業務に取り組むことが求められます。
相手の立場になって物事を考えられる人
銀行のお客様は様々な問題や悩みを抱えています。一人ひとりに向き合い、相手の立場で考え、お客様のニーズにしっかり応えることが求められます。
また、行員間でも業務を分担していることが多いので、滞りがないよう、円滑なコミニュケーションが必要です。
勉強が好きな人
私自身、内定前に「銀行員は一生勉強です」と人事担当に言われたくらい、
とにかく銀行員は勉強することが多いです。
資格の取得はもちろんですが、業務のこと、マーケットの情報、時事問題、金融商品の知識、税務など、とにかく幅広い知識が必要です。
今、金融業界は激動の時代なので、今後も更に高いスキルが求められます。
自分のために学ぶことが好きな向上心の高い方は銀行員に向いていると思います。
銀行員になるにはどうすればいい?
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では、銀行員になるためにはどうすれば良いのでしょうか?
私は新卒として入行しましたが、中途採用で入行した方も多いので、それぞれ紹介していきます。
大学を卒業し、新卒での就職活動
短大もしくは4年制大学、大学院を卒業し、新卒として入行する人が最も多いです。
エントリーシート→SPI→面接という、ごく一般的な流れでした。
エントリーシートや面接で聞かれる内容も、新卒の就活ではかなりノーマルな質問が多い印象です。
私は新卒の就職活動で、主にリクナビやマイナビを使っていました。
いずれも大手の就職情報サイトなので使いやすく、登録企業の件数も多かった印象です。
転職サイトや採用HPから応募する
中途入社で活躍している方もたくさんいます。
転職サイトで募集をしていることもありますし、銀行の採用HPで、直接募集していることもあります。
専門的な知識が求められるため、同じ金融業界からの転職が多いです。
転職サイトでオススメなのはマイナビ転職です。
幅広く採用情報を教えてもらえるだけでなく、履歴書や職務経歴書の添削も丁寧にアドバイスしてもらえます。
まとめ
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銀行員は、「お金」を通して、お客様の夢を叶えるお手伝いができる仕事です。
人に尽くすことが好きな方や、真面目にまっすぐ働きたいという方は、とてもやりがいを感じることができます。
銀行員という仕事を通して、自分自身のスキルアップもできるので、より豊かな社会人生活をおくれるかもしれませんよ。
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